おからの知識



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おから
【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より記載】

おからは日本、中国、韓国など、東アジア特有の食品の一種。豆腐を製造する過程で、大豆から豆乳を絞った後に残ったもの。食物繊維を多く含み、火を通して食べることが多い。

「おから」は絞りかすの意で茶殻の「がら」などと同源の「から」に丁寧語の「御」をつけたもので、女房言葉のひとつ。「から」が空に通じるとして、縁起を担いで、白いことから卯の花(うのはな、主に関東)、包丁を使わず切らずに食べられるところから雪花菜(きらず、主に関西)などと言いかえることもある。「おから」自体も「雪花菜」の字をあてる。

中国語では「豆渣」(トウジャ - douzh?)または「豆腐渣」(トウフジャ - doufuzh?)、韓国語では「??」(ピジ)と呼び、精進料理や家庭料理の材料にする。

本来が廃物であるところから、値段はごく安価で庶民的な食品である。場合によっては豆腐屋が無料で分け与えたり、捨てたりすることが、古く江戸時代からあった。現在では食品としての需要が供給を大きく下回り、また品質の劣化が早く日持ちがしないため、家畜の飼料として一部を活用したり脱水して保存性を高めて供給されるほかは、ほとんどが廃棄されている。

豆腐を作った後の残渣物だが、栄養的には優れている。一般分析値を見れば、乾物中1キロあたりの粗蛋白質は約26%、粗脂肪は約13%、可溶無窒素物が約33%、粗繊維が約15%と非常に栄養価が高い。通常は水分を約75%から80%含む状態で流通している。含まれている粗脂肪(油分)の約50%は不飽和脂肪酸のリノール酸である。また、おからには脳の記憶力を高めるホスファチジルコリン(レシチンとも)が豊富に含まれている。記憶に関連した脳内物質としてアセチルコリンがある。アセチルコリンを作るにはコリンという物質が欠かせない。その前駆物質がホスファチジルコリンであり、ネズミにコリンを与えたところ、記憶力が良くなったという報告もある。

調理法

  • 油揚げ椎茸にんじんなどといっしょに出汁で甘めに煮付けるのがもっとも一般的な調理法。炒り卯の花、または単に卯の花と呼ばれることが多い。おから自体の甘みと相俟って独特の風味がある。煮魚などの残った出汁を再利用しても風味良く仕上がる。
  • 豆腐ハンバーグのように、揚げ物や肉詰めなどの料理に、肉の代りとして用いることもある。水分をよく切るのがコツ。カロリーをおさえる効果がある。
  • 石川県金沢市では、背から切れ目を入れたにおからを詰め、蒸した鯛を2匹腹合わせに盛りつけた鯛の唐蒸しという料理が結婚披露宴で振る舞われる。
  • 高知県中部には、の腹におからを詰め、蒸し物にする独特の郷土料理がある。鯛の滋味がおからにうつり、風趣はなはだよい。
  • 近年は食物繊維が豊富な食材として、ケーキクッキーなどにも利用されている。
  • こんにゃくの粉末と混ぜ合わせて成形した「おからこんにゃく」が肉の代用となる健康食材として、2006年頃から注目を集めている[1] [2]
  • 卯の花炒 - 鍋に少量のゴマ油をおとし、火にかけて煮立ったところへ卯の花をいれ、たえず杓子でかきまぜながらよく炒める。別の鍋にねぎ、油揚げ、にんじんなどを適宜に切り、あるいは刻み、煮出汁、醤油、砂糖、酒またはみりんで、甘からに下煮をし、いためた卯の花をいれて、なお火にかけながら、よくかき混ぜて炒りあげる。アサリのむき身か、焼きハゼ、または焼乾、煮乾の雑魚をみじんに刻んだのを加えるといっそう美味しい。
  • 卯の花汁 - サケ、ブリ、ニシンなどの塩蔵品、とくに頭やアラを利用するのが美味い。鍋にたっぷりの水をいれ、塩魚を適宜に切って最初からいれ、中火にかけて気長に煮出し、ダイコン、ニンジンを半月形またはイチョウ形に薄く切ったものと、コンニャクを適宜むしり込み、油揚げを刻んで加え、煮えたころ、ねぎの五分切りをいれ、卯の花をどろどろになるくらい加える。魚の塩味だけで薄いならば、食塩をくわえ、また適宜酒を加える。味噌を加えることもある。薬味には青のり、こしょう、七味蕃椒など。
  • 卯の花鮨 - 卯の花を煮出汁、みりん、塩で調味し、鶏卵の白身を加え、たえずかきまぜながら炒りつけ、少量の酢を合わせてよく冷やす。別にイワシ、小あじ、コハダなどを普通のすしだねのようにつくり、塩をふりかけて酢につけ、肉が白くはぜるころ引き上げて酢をきり、卯の花を普通の握り鮨のように握り、上に酢魚をつけ、刻みしょうがなどをそえる。
  • 卯の花膾 - タイ、サワラ、ヒラメ、スズキ、アジ、サバなど好みの魚を刺身ほどに切ってかぶるくらいの酢につけ、塩を少々くわえ、はぜて白くなったら引き上げ、残り酢を酒または味醂、砂糖などで調味し、卯の花はまずからいりして水分をのぞき、塩、砂糖で下味をつけ、火から下ろしてよく冷やしたところへ調味酢をあわせ、魚をその中にしのばせる。アサの実を炒ってまぜると、香ばしい。小鉢にもって刻み生姜をのせる。
  • 卯の花飯 - 卯の花を煮出汁、酒、砂糖、塩などで好みの味に炒り、酢をくわえてご飯のうえにのせ、刻み生姜をそえる。炒り卵、炒麻の実などをまぜればいっそう美味しい。

再利用など

通常、おからは産業廃棄物として処理される。全国民が少量ずつ毎日食べれば廃棄物にならないとも言われるが、現状では上記の理由などから多くが廃棄物となってしまう。

これに対し、おからの再利用については様々な研究がなされている。静岡油化工業株式会社は、2008年3月からおからを原料にしたバイオエタノールの製造を開始する。現在産業廃棄物として処理されているおからのバイオ燃料への再利用技術は、燃料費が高騰している昨今の社会背景の中、注目される。また、大手タイルトイレメーカーのINAXは、おから乾燥機「オカラット」を使用した再生技術を開発した。おからを瞬時に乾燥させることで、日持ちのする飼料として販売することができるようにした。既に15台以上の「オカラット」を納入している [3]

他にも、成分を取り出して基礎化粧品の開発に成功した例[4]、乾燥おからを使った猫砂などの実用例もある。

逸話

  • 荻生徂徠が若いころ、貧のあまりに近くの豆腐屋からおからを分けてもらい、飢えをしのいだといわれる。講談の有名なタネのひとつである。
  • 落語の「千早振る」には、おちぶれて乞食となった遊女千早が豆腐屋になった竜田川におからを乞うて拒絶される場面が出てくる。
  • 同じく落語「鹿政談」では、豆腐屋が軒先に出しておいたおからを飢えた鹿が食べてしまうところから話がはじまる。「千早振る」とあわせて、おからがほとんど廃物同然だったことがわかる。
  • うな重の起源は蒲焼が冷めないよう、熱したおからを敷いた重箱に鰻を乗せて出前したことにはじまるという説がある。
  • 能舞台所作板はすべりをよくし、つやを出すためにおからで乾拭きをする。
  • 中国語では、粗悪なセメントを使った強度不足の工事を「おから工事」を意味する「豆腐渣工程」(トウフジャーコンチョン doufuzh? g?ngcheng)と表現する。2008年に起きた四川大地震でも、影響が顕著に現れた。
  • 2004年6月20日鳥取県智頭町で行われた町議会議員の補欠選挙で、「オカラ」と書かれた票が投じられ、無効票扱いとなった。これに対して最下位当選者に1票差で落選した候補者が「自分の苗字(オカダ)の書き間違いだ」として同町の選挙管理委員会に異議を申し立てた。これが有効とされ最下位当選者の当選が無効となったため、今度はこの候補者が「自分がおからを牛に飼料として与えていることは町内では周知であり、この票は自分のことを指している」として県の選挙管理委員会に異議を申し立てた。県選管はいずれの候補に投じられた票ともせず、無効票とする裁定を下した。

外部リンク